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OPINION

業績回復に向け、コンビニ各社の取り組みが進む

20年度の流通小売の業績は、コロナ禍での消費者動向の変化が直結し、業態ごとに好不調が分かれた。
 これまで成長を続けてきたコンビニは、客数の減少が影響し不振。大手3社は既存店客数が10%ほど減少し、客単価が増加したにもかかわらずカバーできなかった。しかし、業績が悪化したことで、各社、回復に向けた新たな取り組みがこの1年で進んでいる。
 コンビニ各社で拡大している集客策が、セブン―イレブンでは『プライチ』と呼ばれている施策だ。A社の既存商品を購入すると、数日後に来店した際にA社の新製品を無料で提供する、というもので、コンビニ各社が展開している。元来はメーカーによる新製品のアピールが主目的だったが、来店頻度の向上につながることから、集客策としてコンビニも力を入れる。また、この1年で増えたのが、複数個をパッケージしたベーカリー商品。買い物頻度の減少から、買いだめ需要や家族での消費に向けて、各チェーンの売場に並ぶ。
 家飲み需要の増加に対し、酒類やつまみがコンビニでも好調。セブンは酒類売場をリーチインケースからオープンケースに変更し、ワインなども積極的に扱い、拡充している。さらにつまみとして惣菜や冷凍食品を合わせ買いしやすい店作りを展開する。
 冷食も伸びている。ローソンが現在進める店舗改装では、冷食売場を2倍に拡大。同じくニーズの高まっている青果を近くに配置し、冷食を日常使いの商品として日々の買い物がしやすいレイアウトに改装を進める。さらに洋風のつまみやデザートなど、冷食で新たなカテゴリーにも挑戦している。ファミマでは冷凍野菜を拡充。現在10品を揃えるが、パッケージを変更し、全品を税込108円に統一。内食での活用を狙い、買いやすい商品群にした。
 また、ラストワンマイルの取り組みとして、ローソンは以前から実験していたUber Eatsを、コロナを機に本格導入。4月の時点で約1600店舗に導入し、計画を前倒しして拡大している。セブンはネットコンビニを実験中。今年度末までに1000店舗で実験を行い、25年度の全国展開を目指す。さらに非接触ニーズの拡大から、セルフレジの導入も、各社が積極的に進めている。

需要に合わせた店舗網の確立を

コロナ禍で売上げを大きく左右したのが、店舗立地だ。セブンでは住宅・郊外立地の店舗は、20年度の売上げが100.3%と前年をクリアした一方、事業所立地は88.9%と大きく落ち込んだ。
 これまで各社は店舗の閉店計画の明言を避けてきたが、セブンが7月に発表した新中期経営計画の資料によると、21年度は“不採算店舗の閉店促進”に取り組む。その先に出店の再加速を目指すとのことだが、都市部の事業所立地店舗を中心に、閉店が進むと考えられる。需要に見合った店舗網の確立が急務となる。
 日本フランチャイズチェーン協会の統計調査では、今年5月のコンビニ全店の売上高は前年比5%増だが、19年には及ばず、回復したとは言えない状況が続く。ただ、コンビニ業界のスピード感は目を見張るものがある。ニーズに合った店舗づくりや店舗網の確立が進めば、回復を果たす日もそう遠くないのではないか。

(杉本)