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OPINION

日本郵便の飲酒運転問題を他山の石に

一昔前、「飲んだら乗るな、乗るなら飲むな」という飲酒運転を防止する標語があり、ダジャレのようなウィットに富んだ良い表現だと、子どもながらに感心したことを覚えている。
 「物流の2024年問題」をきっかけに、日本の物流を守ろうという機運が高まる中、耳を疑いたくなるような非常に残念で腹立たしい問題が発生した。
 日本郵便の社員による飲酒運転が4月に全国で20件発生。同社は4月23日、全国2300ヵ所以上の郵便局などで、飲酒の有無などを確認する点呼が適切に行われていなかったとする調査結果を発表した。
 国土交通省は6月5日、同社に対し、運送事業の許可を取り消す処分を行う方針を通知。18日に聴聞を開き、正式な処分を下す。この処分が決定すれば、同社はトラックやバンタイプの車両など約2500台が5年間使用不可になる。
 ハンドルを握るのは、人の命を握るのと同じこと。同社の社員が全員そうだとは言わないが、命に関わるような仕事をしているのだ、日本のインフラを担っているのだという意識が低いのではないかと疑いたくなる。配達員だけでなく、その管理者にも安全に対する意識づけを徹底することが重要と考える。
 なお、この処分により、物流への影響が懸念されているが、仮に影響が出た場合、最終的に困るのは生活者となるので、物流業界全体における早急な対策が求められる。影響がない場合も、その2500台はそもそも不要だったという論理になるので、改めて同社は、物流の見直しを検討する必要があるのではないか。
 いずれにせよ、同社には原因究明と再発防止の徹底が強く求められることになるだろう。
 そのほかの物流事業者や自動車を運転する各事業者もこの問題を他山の石として捉え、日々の業務に臨んでいただきたい。

注目されている今だからできることの実行を

さて、前述した物流の2024年問題では、あらゆる方面から対策が講じられており、今のところ大きな問題は発生していない。
 日本ロジスティクスシステム協会が5月13日に公表した「物流2024年問題の影響と現状に係る実態調査」によると、24年度の営業用貨物自動車を使った輸送は、製造業・流通業では引き続き“運べている”状況。一方、物流業では“運びにくくなった”傾向が強く、業種により差異がみられた。“運びにくくなった”または“運べなくなった”時期は10月以降、特に12月が深刻だったという。
 ドライバーの待機時間に関しては、現状維持〜短縮傾向としており、待機時間を意識した取り組みが進んでいると分析する。
 一方、日本パレット協会の二村篤志会長は24年度について「物流の2024年問題をパレット活用で乗り切るという官民で合意した方針に対して、極めて不十分なパレット需要」と述べており、パレット化の動きはまだ鈍いようだ。
 物流の2024年問題として世間から注目を集める今だからこそ、ピンチをチャンスと捉え、優先順位をつけて、各分野での取り組みを一層加速する必要がある。

(吹上)