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OPINION

カニカマとサラダチキンのヒットの秘訣

厚生労働省はこのほど「日本人の食事基準(2020年版)」(案)をまとめた。近く成案となり、来年から5ヵ年にわたり食事の針路を示す。基準案では、高齢者がタンパク質を摂取することの重要性を強調している。
 フレイル(加齢に伴い運動機能や認知機能等が低下し、生活機能に障害がある状態)とサルコペニア(加齢や疾患により筋肉量が減少し、筋力や身体機能が低下している状態)を防ぐために、タンパク質を摂取することが望ましいとしている。超高齢社会により増加している医療費、介護費の負担への危機感が背景にある。

「食事基準」はタンパク質の重要性強調

高齢者のタンパク質摂取に関しては最近、大きなブームが起きた。テレビ朝日の人気番組「林修の今でしょ!講座」が、昨年9月の放映において、カニ風味カマボコは白身魚であるスケソウのスリ身を原料とし、筋肉増加に効果があり健康寿命に貢献すると紹介した。
 これを契機に高齢者の間でカニカマの人気が急上昇。カニカマメーカーでは、前年比2倍以上を生産し工場稼働は瞬く間に限界に達した。規模が小さいメーカーでは10倍になったところもある。ブームは一時的と見られたが、今でもほぼ昨年9月当時のレベルに近い生産が続いている。
 購買層は依然として高齢者が多く、リピートにより消費が定着しつつある。他の年齢層への広がりは見られない。このことは、高齢者がいかに健康寿命を意識しているかを示している。長生きしても健康でなければ生活を楽しめないし、家計費を医療や介護に費やす余地も少ない。そこで、体力増強につながるタンパク質摂取による筋肉増加の効果に注目するのは当然だろう。超高齢社会が続く限り、こうした傾向は強まっていく。
 高タンパク、低カロリー、低脂質の鶏ムネ肉が評価され、大ヒットしたのがサラダチキンである。沢山食べても太りにくいためダイエット食として人気が高まり、とくに美容を意識する若い女性の間で人気が急騰した。鶏ムネ肉のタンパク質に豊富に含まれるイミダゾールジペプチドは疲労回復の効果があるとして、アスリートにも愛好されるようになった。
 大手コンビニが2013年に発売し、全国約2万店舗を展開する圧倒的な販売網により大ヒットを生み出した。民間調査によれば17年のサラダチキンの全国売上高は356億円にのぼる。1個(110~120g)198円の価格が多く、これを元に換算すれば製品重量だけで約2万2000tとなる。日本で鶏肉はモモ肉に比べムネ肉は価値が低かった。そこにサラダチキンが登場し、大きなマーケットを形成。鶏肉業界にもたらした効果は大きい。
 カニカマとサラダチキンはタンパク質の機能性が評価されていることが共通している。老若男女を問わず、体力増強、健康志向などが強まっていることの表れである。
 冷凍食品もEPA、DHAを含んだ機能性食品が発売されているが、ヒット商品は出ていない。タンパク質の機能性に着目し商品開発することも、冷食の支持を広めることにつながると思われる。

(古藤)