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OPINION

アキサケ資源の“第一義的権利”主張を

今年の北海道のアキサケ来遊予想が6月下旬にも発表される。
 昨年の来遊尾数は前年比24%減の1775万尾。来遊のピークだった05年・6050万尾の3分の1にも届かなかった。資源の減少傾向が続き、深刻な状況である。
 アキサケは秋の代表的な味覚として消費者に親しまれてきたが、資源減少により、サケ・マス全体における存在感は小さくなった。チリの養殖ギンザケなど輸入サケ・マスが日本市場を席捲している中で、わが国の固有資源であるアキサケを衰退させてはならない。ふ化放流という人為的な手段で増大させることができる貴重な水産資源であり、工夫次第で大きな成果が得られる。
 わが国のサケ・マス人工ふ化法は、1873年にオーストリアのウィーンで開催された万国博覧会に使節団を派遣したことを契機に導入された。1888年に官営の「千歳中央ふ化場」(北海道)が建設され、それまでの河川内捕獲規制や産卵場保護による資源維持から、本格的な漁業資源の造成を目的とした人工ふ化放流事業へと転換された。
 長年の努力が実を結び、沿岸来遊尾数は飛躍的に伸びて1975年は1500万尾を上回った。10年後の85年には3000万尾へと倍増。その10年後に5500万尾を突破し、05年にピークとなった。しかし、2010年代に入り4000万尾台へと減少し、17年に2000万尾を割り込み、昨年は最低水準となった。

インターセプト疑念の解明必要

問題は来遊減少の原因がはっきりしないことである。放流稚魚の降海時における沿岸水温の低下を主因とする意見は強い。しかし、降海時に適水温だったとされる、昨年の4年魚と5年魚の来遊が不振に陥っており、この説は説得力に欠ける。水温などの環境要因だけでなくもっと幅広い視野からの原因究明が必要だろう。
 特に降海から河川回帰までの間にインターセプト(横取り)が行われていないか調べるときに来ている。アキサケは北太平洋を広大に回遊しており、他国の沿岸で捕獲されている可能性はあるし、サンマに見られるように、外国漁船による捕獲も洗い直してみる必要があろう。北海道の沿岸漁業者もインターセプトがあるのではと疑っており、疑念を晴らす必要がある。
 国連海洋法では「遡河性資源(サケ・マス類)の発生する河川の所在する国は、当該資源について第一義的利益及び責任を有する」と定めている。アキサケについては日本が第一義的な権利を有する。
 北太平洋のサケ・マスついては、日本・米国・カナダなどで構成する北太平洋遡河性魚類委員会と日ロ漁業合同委員会が扱いを決める。これらの国際会議で日本の固有資源であるアキサケが国際的に不当な扱いを受けていないか申し立てることも1つの方法だろう。
 水産庁と国立研究開発法人水産研究・教育機構はこのほど「さけ・ますふ化放流事業のあり方」をまとめた。
 水産研究・教育機構の方針として、アキサケの遺伝的多様性の維持および遺伝的固有性の保全を目的に、個体群維持を目指すとしている。固有資源の存続のために重要なことである。しかし、個体群が維持されても、漁業が廃れては意味がなくなってしまう。

(古藤)