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OPINION

守りの1年から攻めの1年に

20年度は新型コロナの影響を受け、業界によって業績の浮き沈みが大きくなっている。その中で食品スーパー(SM)業界は、総じて好調に推移。4月上旬頃から各社の2月期決算が発表されるが、SM業態中心の企業は、概ね増収増益での着地となるだろう。
 好調だったとはいえ、当然ながら楽して儲けていたわけではない。接客業には感染リスクが伴う。そのリスクをいかに軽減するか、顧客だけではなく従業員に対してもいかに安全を提供できるかという点での苦労は察するに余りある。実際に従業員の陽性が判明した店舗も少なくなく、その都度、店舗の休業や消毒など対応を迫られている。さらに特定商品の需要が急激に高まることも多く、欠品を防ぐべく商品の調整にも苦慮。SM各社のこの1年の取り組みはコロナ対応が中心で、守りに徹した年となった。
 未だにコロナ収束の見通しが立たない中、21年度も各社は感染リスクへの対応が必須となるだろう。ただし、業績としては20年度が良かった分、前年クリアが高いハードルになる。収益の確保に向けてどう取り組むか。コロナ対応の先を見据えなくてはならない。

コロナ禍でSMの進化が加速

ヤオコーは19年度まで31期連続で増収増益を維持しており、20年度で32期連続となるのは間違いない。ただ、21年度はさすがにハードルが高いと川野澄人社長も認めている。「新店を前年の倍近い9店舗出店し、売ることに集中して増収増益を目指す」として、顧客の獲得に注力。20年度は計画を前倒しして既存店の改装実施を拡大しており、新店・改装店を中心に販売に力を入れる。
 ライフコーポレーションの岩崎高治社長は「20年度は外部要因が大きく、自分たちの実力ではない。21年度の売上予算は100%を切るぐらいで考えている」と売上げを求めない考えだ。ただし、施策として“守る”“攻める”“変える”の3点に注力し、ネットスーパーやキャッシュレス決済などの導入に積極的に取り組んでいる。また、価格ではなく価値を訴求すると強調。オーガニックSM業態のビオラルの拡大を図るなど、高付加価値商品等を強化していく。
 マックスバリュ関東が昨年10月にリニューアルした「マックスバリュおゆみ野店」(千葉県千葉市)と、マルエツが今年2月に出店した「マルエツ船橋三山店」(千葉県船橋市)は、ともに両社が取り組む体験型SMの1号店。買い物を楽しむ店、買い物以外にも目的がある店として、客の滞在を促す。コロナの影響から買い物の時短ニーズが高まっているが、マルエツの古瀬良多社長は「危険ではない場所ならいくら滞在しても大丈夫」と述べ、同店の安全性に自信を見せた。実店舗の存在意義として、買い物をする場所というだけではなく、目的地であることが重要だという。
 ネットスーパーやデジタル化、新たな店作りなどは、何も今に始まったことではない。各社既に取り組んできたことだが、そのスピードがコロナ禍で加速している。第3四半期までの業績を見ると、20年度は各社、大きく増益が見込まれる。その利益を投資に回し、次の1年を攻めの1年として取り組むことで、急速に進化を遂げる年になるのではないだろうか。各社の取り組みを注視したい。

(杉本)