YES YES YES YES YES YES

トップページ > 最新号/OPINION

OPINION

コロナ禍を乗り切る新たな小売の形

新型コロナウイルスにより、小売業で好不調が分かれている。
 日本フランチャイズチェーン協会の統計によると、コンビニ業界の2019年売上高は、前年より0.4%増。10月に開始したキャッシュレスポイント還元事業などが寄与し、堅調に推移していた。しかし、今年3月は外出自粛要請で客数が激減し、既存店売上げが5.8%減。さらに4月は10.6%減と大きく落ち込んだ。また、6月末のポイント還元終了もあり、7月は7.4%減と厳しい状況が続いている。
 一方で、食品スーパーはコロナ禍で売上げが上昇。食品スーパー3団体の統計によると、会員各社の既存店総売上高は今年1月まで15ヵ月連続で前の年を下回っていた。しかし、コロナで状況が一変し、2月は5.5%増、4月にいたっては10.7%増と伸長。7月も5.6%増と依然高水準を保っており、6ヵ月連続で前年を超えている。
 また、3密を避けるために、各社は5月頃までチラシなどでの特売を休止した。これが販促費の削減や粗利益率の改善につながり、利益が上昇。第1四半期の営業利益はUSMHが403.4%増、イトーヨーカ堂が204.9%増など、大きな伸びを見せている。

ネットの活用が不可欠に

コンビニはこの状況をどう打破していくのか。ローソンは昨年8月に導入した“Uber Eats”の対象店舗を、今年4月時の都内14店舗から、8月には12都府県1001店舗にまで拡大。巣ごもり需要に対応した。生鮮野菜の取り扱いも強化し、“新鮮野菜市”を全国店舗で展開。内食需要の高まりから、売れ行きが良いという。
 セブン−イレブンは一部地域で実証実験していた“ネットコンビニ”を首都圏で開始。アメリカでは3900店舗を展開するコンビニ「スピードウェイ」を買収し、海外戦略にも力を入れる。
 コンビニ全体の数字は厳しいが、全てのエリアがそうというわけではない。都心部のオフィス立地では、テレワークの増加から来客数が減少し売上げが落ち込んでいるものの、郊外の住宅立地では、生鮮食品や冷凍食品などの売れ行きが良く、好調に推移している。今後は各社が立地を見直し、都心部を絞り込むことで、店舗数が大幅に減少する可能性もある。また、営業時間についても、夜間人口の減少もあり、非24時間営業の店舗の増加が予想される。コンビニ各社が進めてきた、これまでの戦略の見直しが迫られている。
 一方でスーパーも決して安泰ではない。コロナ禍でネットスーパーの需要が拡大し、実店舗を脅かしている。アクシアルリテイリングの原和彦社長は「当社はネットスーパーの長期的な拡大を目指していたが、コロナの影響から数年前倒しして進めていく。今後、ネットスーパーに投資できない企業は他社に協力を仰ぐなど、業界再編が進むのではないか」と述べており、生き残るためにもネットスーパーの強化が必要と見ている。
 セブン&アイHDは、3月に発表を延期していた20年度通期予想を7月に発表。コロナの影響を含んだ数字として、営業収益は国内コンビニ事業が4.5%減、スーパー事業が3.7%減とどちらも厳しい。
 小売各社はコロナ禍を乗り切るために、新たな形を模索中。商品、サービス、戦略など、大きく変わろうとしている。

(杉本)